わきが、多汗症

「わきが」と「多汗症」は本来別なものですが、色々な雑誌の広告や、ネットに「わきが、多汗症」とひとくくりにしてすべてが手術でなおる、という情報をみかけることがあります。これらを見られた患者さんは「わきが」も多汗症も同じようなもので、同じ治療で治る、と誤解されている方も少なくないようです。


「わきが」は脇の下にあるアポクリン汗腺から分泌される汗が関係しています。
多汗症」はエクリン汗腺からの分泌される多量の汗です。


わきがに関してはhttp://www.jsprs.or.jp/cgi/jump.cgi?p=311
の「腋臭症」に掲載があるように手術療法が適応になりますが、多汗症は手術では解消しません。


わきがの手術は皮膚を3㎝前後の切開して皮膚の裏側にあるアポクリン汗腺を除去する方法です。100%汗腺を除去することはできませんので、すこし臭いが残ることもありますが、かなり軽減されます。


また永久脱毛することで毛の周囲に付着する汗の成分がなくなるので、軽くなる場合もありますが、効果には個人差はあります。

脇の多汗症の治療は塩化アルミニウム水溶液が有効です。当院ではまずこのローションを塗っていただいています。一晩塗ると翌日の発汗はかなり抑制されます。「わきが」と「多汗症」の両方がある方もあり、そういう場合には有効です。(臭いは完全に消えませんが軽くなる見込みはあります)


また、ボトックス注射も有効です。これはシワ取り(表情じわ)に使う注射薬ですが、汗を止める作用もあります。注射後4〜6ヶ月は汗がほとんどでなくなりますが、注射の効果が切れると元通りの発汗に戻ります。夏場に発汗が多くて困るかたは期間限定と考えられて受けられるのも良いと思います。