がん治療と美容外科

ガンの手術療法はもちろん手術でガンを取り除くことですが、

手術は取り除いて終わりではありません。


特に首から上のガン(頭頸部ガン)の場合は切除後に欠損部を埋める再建手術が必要です。

たとえばアゴの骨にガンが出来た場合、切り取った直後は当然アゴは無くなり、そのままでは食事もできませんし、喋ることも困難で、外見上大きな問題があります。


通常腓骨(すねの骨)を一部取って欠損部に移植します。皮ふ、皮下組織は太ももから採取し、それらを手術用顕微鏡を使って首の血管に吻合して移植する血管柄付き組織移植という再建術を行います。


ここまでの手術は頭頸部ガンでは通常行われる手術です。


これで患者様は今まで通り食事をしたり、喋ったりすることは出来るようになります。


しかし、外見は決して良い、という状態ではないと思います。もちろんガンを治すことが第一ですが、近年は色々な治療をしても、「よりきれいに、より美しく」が求められるようになってきました。


そこで美容外科の技術を応用してなるべく元々の状態に戻して行こうという話です。


移植した組織は通常大きいため、顔に移植した場合、大きく垂れ下がることになります。

移植した組織が周囲になじむのに半年以上は待つ必要があります。
その間少々萎縮しますが、最終的に落ち着いたところで非対称を治す手術を行います。

美容外科手術のシワ、タルミを取るフェイスリフト手術という技術を応用して移植した組織のタルミを改善させます。


現在鳥取大学の形成外科の先生達と連携してその治療に取り組んでおり、私が大学病院に出向いて一緒に手術をしています。


全国の大学病院でもまだ美容部門が無いところがほとんどなので、このような取り組みを行っている所は少なく、大学病院と個人の開業医が合同で治療を行う取り組みは全国でも類を見ません。